鑑定評価業務
高度な専門的作業ですから、公認会計士の監査業務や弁護士の法律相談業務と同じように、不動産鑑定士にのみ認められた「独占業務」です。
土地や建物の価格だけでなく、依頼者の持つ不動産の売買や交換などの様々なニーズにより、借地権価格、借家権価格、区分地上権価格等の経済価値を判定します。その結果を「不動産鑑定評価書」にまとめ、署名、押印し、依頼者に発行する一連の業務を「鑑定評価業務」といいます。
<不動産鑑定評価の手順>
鑑定依頼
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打ち合わせ
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処理計画の策定
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調査準備
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現地調査
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鑑定評価作業(検証)
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内報
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付属書類の作成(最終検証)
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署名・押印、提出(請求書類含む)
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事後整理
公的評価
国や都道府県、市町村、裁判所等から依頼を受けて鑑定評価を行います。公的評価があるため、不動産鑑定士は安定した収入が得られる仕事資格として一般に知られています。
・地価公示
国(国土交通省)・土地鑑定委員会が依頼。毎年1月1日現在の全国約30,000地点の評価
・地価調査
都道府県知事が依頼。毎年7月1日現在の全国約30,000地点の評価。
・相続税路線価の評価
国(国税庁)・各国税局が依頼。全国の主要道路に面した土地等の評価。
・固定資産税標準地評価
国(総務省)・都道府県・市町村が依頼。3年に一度の評価替え。
・裁判所の競売物権の評価等
民間評価
企業や個人から依頼を受けて鑑定評価を行います。不動産の売却・購入の際の鑑定評価や、資産価値を知りたいときの資産評価等があります。不動産の証券化、時価会計(減損会計)の導入等に関する依頼が増えています。
・不動産の担保評価
・不動産の売買・交換・贈与
・相続財産の評価
・借地・借家関係の紛争
・資料の決定
・企業の上場や合併などの際の資産評価等
不動産鑑定士は、「地価公示」、「地価調査」、「固定資産税標準地評価」など数多くの「公的評価」の評価員を委託されているケースが多く、これらの業務を通じて社会一般への貢献度は大きいです。
コンサルティング業務
コンサルティング業務は、不動産に関するあらゆる相談業務の総称と言えます。不動産についての様々な相談に、鑑定評価で培った豊富な経験と知識を活かして、アドバイスや指導を行う業務です。不動産鑑定士に対するニーズは、時代の複雑化、高度化と共に多様化してきています。
[具体例]
・市場分析(需要実態調査、需要予測など)および立地適否分析
・土地の有効活用案の策定
・開発プロジェクトの投資採算性の分析
・開発プロジェクトに伴う各種の補償額の算定
・再開発、共同ビル事業におけるマスタープランの作成
・評価手法の開発およびシステム化、地価予測モデル式の開発
・大規模団地の処分価格の査定および当該処分が周辺地域に与える影響の分析
コンサルティング業務の拡大傾向は、今後も続くものと考えられます。様々な知識(法律、会計、税務等)が必要とされますから、日頃の努力が大切です。
新たな業務
不動産・会計・金融が融合する新たな分野で活躍する不動産鑑定士が急増しています。不動産投資、減損会計、不良債権処理といった場合でも活躍が期待されています。
・不動産証券化に伴う評価や価格審査
・減損会計導入時の企業の資産評価
・不良債権処理に伴う担保不動産の評価等
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